野上鉄晃監督の短編映画『ABYSS』の先行試写会で感じた「アートを見る姿勢」。[宇久島地域おこし協力隊レポ]
2023年7月23日(日)、野上鉄晃監督の短編映画『ABYSS』の先行試写会が五島列島最北端の離島、宇久島にておこなわれました。
主演
吉本 美憂
塩田 みう
工藤 孝生
内容に関しては具体的には触れないように、ネタバレにならないように、僕が思ったこと、感じたことを書きたいと思います。
『ABYSS』はエンタメではなくアート。
映画とかの作品には、僕個人的な考えでは、エンタメ(エンターテインメント)的なものとアート的なものがあると思っています。
ここで言う、エンタメ作品とアート作品の違いは、自発的考えが必要か否か。
エンタメ作品は、何も考えなくても、見たり聞いたりしているだけで楽しめるものですけど、アート作品は「ん?これはどういうこと?」と問いを持たないと楽しめないというか、見る価値を見出せないと思います。
もちろん、エンタメの中にもアート的な要素含んでいるものはありますけど、目にするものを「エンタメ」か「アート」かの視点を持つと、より深く作品を見ることが出来て面白いなと思っています。
そこで、今回見させていただきました『ABYSS』には、「アート」的なものを強く感じました。
美術館に行った時のような感覚
(写真はリハーサルの時のものです)
試写会では、僕は音響を担当。
野上監督とはリハーサルをご一緒させていただきました。
それなので、映画はリハーサルの時と本番と2回観られることに。
もちろん、音に集中していたので、作品に100%集中することはできませんでしたが、2回観られたことで、どんな内容かは結構覚えています。
そう、内容は覚えてはいるんです。
でも、あれってどういうこと?
と、「問い」が残っています。
美術館にある作品を見ている時のような感覚を持たされました。
この作品はどの様な意図で作られたのか…
この作品は何を意味しているのか…
この作品が作られた時代背景はどんなものだったのか…
というような感じで。
『ABYSS』はまさにアートだと思わされました。
アートを見る姿勢には自立が必要
(来場者に配布されたポストカード)
アート的な作品を見る時は、「問い」を持つ。
そして「私はこう思う」という姿勢が大切だと思います。
問いの中、正解か不正解かも分からないままで「私はこう思う」という姿勢は、どこか怖さがあると思います。もしくは、変な解釈をしてたら恥ずかしい…とか。
けど、その怖さや恥ずかしさの中でも「私はこう思う」と、思ったことに責任を持つ姿勢が大切だと思うのです。
ここでは自立が必要になってきます。
自立とは自らの意志で行動すること。
つまり、自ら考えるということ。
自己完結でいいのです。
そこでの気付きに僕は価値があると思っています。
そして、その気付きを深めるために具体的な行動としておすすめしたいことがあります。
それは「問いのまま保留して、判断をしない」こと。
すると、より作品に近寄れるような感覚が持てます。
近寄れれば、より気付きも深まります。
ここにアートを見る姿勢を持つ楽しさがあるのではないでしょうか?
今回の試写会、美術館に居るかのような時間でした。
そんな時間を自然だらけの離島、宇久島で過ごせたこと、とても感慨深いです。
また、試写会ではトークショーもあり、野上監督のコメントでは、『ABYSS』まだ完全には完成はしてなく、これから編集もおこない、楽曲も付け足されると言われていました。
更に、監督が表現したいものがリアルになると言えますね。
楽しみです。
公に公開された時は、今度は内容に触れながら感想を書かせていただきたいなと思ってます。
お読みいただきありがとうございます。
地域おこし協力隊の栗原でした。