宇久島に息づく平家伝説。家盛公を巡る歴史ミステリー!
宇久島を平定した人物、平家盛ではない!?

宇久島には、古くから語り継がれてきた物語があります。
それが、「平家盛がこの島にたどり着いた」という伝説です。平家盛は平清盛の異母兄弟、優秀な武将で能力は清盛を凌ぐとも言われた人物。
一方で、島を治めた家盛という人物は源氏の流れをくむ武士だったという説もあり、
「平家説」と「源氏説」が共存する、まさに歴史ミステリーの島でもあります。
どちらが正しいのか。
実ははっきりとは分かっていません。
しかし、この“答えのない物語”こそが、宇久島の魅力をより深く、豊かにしています。
平家の落人は本当に来たのか?
島には、平家ゆかりとされる地名や伝承がいくつも残っています。
平家盛公上陸地(船隠し)や八幡神社、神島神社、東光寺、従者であった藤原久道の墓など多くの史跡を観ることができます。

これらの史跡が「平家」と紐づく裏付けの一つとして、藤原久道が記した蔵否収録(ぞうひしゅうろく・日記みたいなもの)という古文書が見つかったことにより平家伝説が宇久で語られるようになりました。
しかし、それをもって平家と断定するのは難しいようで、歴史家や専門家の方もこれらの文書をもって平家盛が来たとは認めていないようです。

また、もし平家盛が1187年史実通りに来島していたら年齢は70歳を過ぎていたことになり、そこから未開地(五島列島)を統一するとなると体力的にもどうだったのかという疑念も残ります。鎌倉時代の平均年齢は40歳以下と言われている中で、更には平家盛は京都の宇治川・落合で20代に亡くなっていると平時物語に書かれています。
かたや、平家盛は1150年、隠居していた京を去って行方不明となり、平戸から宇久に入って五島列島を統一したという伝承が平戸史等に残っています。
結局平家なの?源氏なの?という確定が取れないまま今に至っていますが、出自はどうであれ、「家盛」という人物が宇久を平定し、五島列島を平定した実績から、相当凄腕の人物だったようですね。
若い世代の方々からは、
「歴史の授業よりワクワクする」「映画の舞台みたい」
という声も多く、伝説は今も新しい魅力を生み続けています。
史実としての源氏の存在
文献史料では宇久氏が源氏系であることが示されており、
島の歴史を語るうえで欠かせない視点になっています。
宇久家盛は、源氏の系譜を引く豪族で、武田左兵衛尉有義の子武田次郎信弘であり、家紋が武田菱であることがそのことを物証するものであるという。 武田次郎信弘は、平戸黒髪山麓に居を構え、のちに宇久島に渡って宇久次郎家盛と称した。鎌倉幕府に忠誠を尽くした功により、肥前守に叙せられ、代々五島を領するようになり、宇久を称するようになったと伝えてられている。(五島市まるごとう史料 より)
更に源氏説を強く後押しする論としては、松浦党の存在があります。平戸を拠点とする松浦党は平家の家人で、源平合戦では平家側の応援として戦ったそうです(壇ノ浦では源氏に寝返る)。
松浦党の大きな特徴として、子どもの名前に漢字一文字を与える慣習があり、鎌倉時代当時は名前のほとんどが漢字二文字を与えられていた(清盛、忠盛など)ことに対し、久・直・留・など一文字の漢字を与えられていました。
東光寺に平家盛公以下七代の霊廟がありますが、この説明板には家盛公以下の子どもの系譜が載っています。
盛・太・進・競・披・・・家盛以下はすべて一文字です。
東光寺山門 こういった観点、また平戸周辺を拠点にしていたことなどから松浦党の一派が宇久に来島し、平定したという説も自然で説得力があります。
つまり宇久島は、
“平家のロマン”と“源氏の史実”が重なり合う島。
この二重構造が、歴史好きにも旅好きにもたまらない奥行きを生み出しています。
観光の中で受け継がれてきた「平家伝説」
宇久島では、この平家伝説が長い時間をかけて観光の中に息づいてきました。

● 昭和期
島の人々の語りとして伝わり、観光パンフレットにも「平家伝説の島」と紹介され始める
町の文化財として「舞鶴の欠け椀」「平家盛以下七代の墓」などが指定される
● 平成期
歴史研究が進み、平家説と源氏説の両方を紹介するスタイルが広がる。
伝説と史実を丁寧に説明する観光案内が増える。
平家まつりが開催される
平港ターミナル前に盛州公園がつくられる
● 令和(現在)
体験プログラム「島内観光ガイド」「まち歩き」などで紹介
大学生の地方創生・課題解決研究等のテーマとしても採用されている
物語がある島は、旅が深くなる

宇久島の魅力は、ただ景勝地が美しいだけではありません。
海、山、暮らし、そして歴史。
そのすべてが重なり合い、島の時間をゆっくりと形づくっています。
平家の落人が本当に来たのか。
源氏の武士団がどのように島を治めたのか。
その答えを探しながら歩く旅は、きっとあなたの心に残るはずです。
宇久島で、ぜひ“物語のある旅”を楽しんでみてください。




