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潮が引いた磯で見られる小さな生き物をより一層細かくご紹介いたします。

2023.10.28

磯遊び・磯観察体験

夏季がメインですが、宇久島の磯場で小さな生き物を観察する「磯遊び・磯観察体験」がご好評いただいております。ありがとうございます!

フィールドでは安全な生き物、可愛い生き物、危険な生き物、ブサイクな生き物、様々な生き物に出会うことができ、何故そんな形になってるのか、何故こんなところに棲んでいるのか、ちょっと疑問に思うと大人でも「なんで!?」と興味や好奇心をくすぐる体験になっていると思います。

体験中に色々とご説明させていただいておりますが、あいにく当日出会えなかった生き物もいると思いますのでここで図鑑がてらに生き物のご紹介をちょっぴりさせていただきます。

では、どうぞ!

ヤドカリ

まず最初にご紹介するのが、磯遊びで多くの方が一番最初に出会う生き物、ヤドカリです。

しかし、実はヤドカリといっても世の中には約450種類以上もいて、その生態もさまざま。

宇久島の磯で出会えるヤドカリは正式名を「ホンヤドカリ」と言います。

ホンヤドカリ

日本国内では非常によく見るヤドカリ。爪先が白く、よく見ると触覚がシマシマできれいです。

ヤドカリは名前のごとく貝を主に宿として借りて暮らしている生き物ですが、宇久島のヤドカリはおおよそ下記の貝を住まいとして利用しているものが多いです。

どの貝も宇久島では「ミナ」と呼ばれて佃煮や味噌漬けにして食べられるのですが、沢山採って、一気に熱湯で湯がいた後にそれぞれ調理します。そのため運の悪いヤドカリはミナと間違えられて採集され、そのまま熱湯へ。。。

ホンヤドカリは雑食性で、魚などの死骸や藻類、岩の隙間等に溜まった蓄積物(デトリタスといいます)など、なんでも食べます。最大で15~20mm程度ですが、大きなものは主にクマノコガイに入っていることが多いように感じます。

ウニ

宇久島のウニは3種類います。ムラサキウニとバフンウニ、ガンガゼで、3つとも同じウニの仲間ですが、容姿は全然違います。

ムラサキウニ

見てからにTHEウニ!といった感じですが、国内で最も広範囲に分布している種類。トゲを含めた最大で直径15cmほどに成長します。

サイズにもよりますが2~3cmの隙間でも形を扁平にして上手に入っていきます。

バフンウニ

見た目が馬糞。そこから名前の付いた、ちょっと可哀そうなバフンウニ。宇久島では「ガゼ」と呼んでいます。

刺さることは少ないですが小さなトゲなので一度刺さると取れなくてチクチク痛いので注意。

ガンガゼ

宇久島では「オニガゼ」とも呼ばれます。とにかく長いトゲが特徴で、トゲの先には毒も備えています。更にトゲは返しが付いているので万が一刺さると非常に痛いしトゲが取れないという厄介者。

イシダイ釣りのエサなどになります。

3種類の中でガンガゼ以外は磯開きという漁の解禁日の中で島民が自由に採集できます。採集したウニはムラサキウニもガゼも混ぜて瓶詰めにします。非常に手間がかかる作業ですが、そこらへんは下記の記事をご覧ください。

最近では「キャベツウニ」とか「レタスウニ」など聞かれたことのある方もおられると思いますが、草が大好き。海藻類をはじめとして草食性が非常に強いです。しかし時には岩に付着している石灰藻(岩に付いている紫やピンク色の斑紋。水を綺麗にするバクテリアが固まっているもの)までバリバリ食べてしまう大食漢。

イソギンチャク

磯場の場所次第で棲んでいるイソギンチャクが違います。イソギンチャク=クマノミと連想される方も多いと思いますが、クマノミが隠れるイソギンチャクはごく限られた種類になります。更に、クマノミの種類(割とたくさんいます)によっても好むイソギンチャクの種類があるので、生き物はほんと不思議だなーと驚かされますね!

シライトイソギンチャク

クマノミに人気のイソギンチャク。主に砂に胴体を埋め込んで棲息しています。干潮でもやや水深のある場所に棲息しており、通りかかった小魚やエビなどを捕食します。

ミドリイソギンチャク

主に岩場と砂の境目に棲んでいるものが多いです。微弱の毒を持っているので不用意に触らない方がよいです。茎の部分が鮮やかなグリーンなことからミドリイソギンチャクと呼ばれています。

ウメボシイソギンチャク

見た目が正に「梅干し」。特筆すべきは、干潮時には胴体に水を蓄えて、海の外でも生きる事ができる点。干潮時には干上がってしまうほどの浅場に棲息しているため、独自の進化を遂げています。

イソギンチャクの殖え方ってご存じですか?実はイソギンチャクのほとんどは「分裂」して殖えます。1つの個体が、茎にあたる部分が割れて2つになります。エサが豊富であったり、外敵がいないような場所だと凄い量のイソギンチャクに出会うことができます。宇久島ですとウメボシイソギンチャクが大量に生息している場所もありますよ。

魚類

タイドプールに取り残された生き物といえば魚。磯遊び磯観察でも最も人気の生き物です。3cm未満の小さい魚が多いですが、その時その時で魚の種類が違ったりするので見ていて飽きません。

メジナ

宇久島では「クロ」と呼び、釣りの絶好のターゲットとして人気です。磯遊びで見つけられるのはまだ赤ちゃんのメジナで、身体に入るスポット模様が特徴的です。だいたい5月頃に多く見ることができます。

ナミノハナ

波打ち際に群れで生息しており、キラキラと輝くことから「波の華」と呼ばれている可憐な名前の魚です。秋から春にかけて見ることができます。

シリキルリスズメ(熱帯魚)

運が良ければ熱帯魚も見ることができます。ただし定住している魚ではなく、海流に乗って宇久島に流れ着いた魚で(これを死滅回遊魚と呼びます)、暖かい時期にしか見る事ができません。このシリキルリスズメ以外にも様々な熱帯魚が流れ着きます。

まだまだ沢山います・・・!

延々とご紹介し続けそうなので今回はこれくらいで。好評でしたら第2弾書きます(笑)

磯遊び・磯観察体験では生き物を捕まえて観察することが主な体験となっていますが、非常に沢山の生物が暮らしている磯場、波打ち際で漂着ゴミなどを代表する「海浜汚染」について皆さまに考えていただくきっかけになればと思っています。

実際に体験場所近くにも多くの漂着ゴミが流れ着いていたり、昔はみかけた生き物が見られなくなってしまったり。

現状では対処がしきれなくなってしまっている、大切な課題についても磯遊び・磯観察体験では学ぶことができると思いますので、ぜひ夏休みの宿題だけではなく、様々な研修などにもご利用ください♪

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